【絶滅危惧種】フリーズドライで精子を長期保存
フリーズドライとは、素材を凍結させ保存する技術のことで、素材をマイナス30℃くらいで急速に凍結させ、そのあと真空状態にして水分を飛ばし乾燥させます。この方法であれば、素材の組織が壊されることがほとんどはありません。
高熱で乾燥させる方法の場合、素材の組織が壊れやすく香りも残らないのですが、フリーズドライで乾燥させた場合は、お湯をかけて元に戻せば、香りだけでなく栄養成分も変化が少ない状態で復元されます。しかも、復元した際に素材の亀裂や収縮なども少ないため、非常に優秀な加工・保存方法といえます。
フリーズドライは、日本語では「真空凍結乾燥」と呼ばれているのですが、「真空」という言葉が入っているため、近年開発された方法のように思われがちですが、フリーズドライと似た保存方法は、古代マヤ文明の頃にもありました。マヤ文明が栄えたアンデス地方は、昼夜の寒暖差が大きいため、「@夜間に素材を凍結させる A昼間に自然解凍させる。 B自然解凍した素材を足などで踏んで水分を抜く」という@〜Bのを繰り返すことで素材を乾燥状態にし、長期保存できるようにしていたようです。
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フリーズドライは、主に食品や薬などに使われてきた保存方法ですが、精子を保存するための方法としても活用されるようになりました。2013年8月27日、京都大学は稀少な野生動物を保護するために、それら野生動物の精子をフリーズドライにして保存するバンクを京都市動物園と協力して始めたことを発表しました。
京都大学は、絶滅危惧種のチンパンジーやスローロリス(小型のサル)の他に、稀少動物のキリンの精子保存に成功しており、それらを約1ヶ月保存したあと水で元に戻して卵子に顕微授精し、受精能力が保たれていることを確認できました。絶滅危惧種の精子をフリーズドライにして保存したのは世界初と言われています。あと、フリーズドライで、ラットの精子を5年間保存することにも成功しています。
従来の精子の保存方法は、液体窒素などで極低温にして冷やす凍結保存方法でしたが、フリーズドライであれば4℃の冷蔵庫で保存することができるため費用が安価で、仮りに災害などで停電になった場合でも3ヶ月間は室温で保存することが出来ます。
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